12話のスレッタが笑っていた理由は「エリクト・サマヤ」が関係していたから?
12話のラスト、デリング抹殺のためフォルドの夜明けの兵士が銃口を彼とミオリネに向ける中、スレッタは改修されたエアリアルで駆け付け、「やめなさい!」と言ったと同時に何のためらいもなく、エアリアルの手で兵士を叩き潰した。
その後、血まみれの床に尻もちをつきながら、「締まらないなぁ」と言いつつ手に兵士の血を付着させ、その手をミオリネに差し出し、笑顔で「助けに来たよ!ミオリネさん」と言い狂気に満ちたシーンで第一シーズンが終了となる。
(ちなみに2023年、5月14日時点でこちらの記事によれば、このシーンがBPOで案件になったようであり、「今更感」があるし、そうなってくると鉄血のオルフェンズや他のガンダム作品はどうなんだという感じにもなるが。)
このミオリネの救出直前、ガンダムエアリアルのある格納庫に来ていたスレッタは怯えていた。
なぜなら、母プロスぺラが目の前でフォルドの夜明けの兵士を撃ち殺すショッキングなシーンを見ていたからだ。
恐怖と不安でその場にしゃがみ込むスレッタに、プロスぺラは洗脳的な説得でエアリアルに乗ることを決意させたことで、ミオリネの救援自体は成功した。
しかしそれでも、戦場には慣れていないはずのスレッタが、何の躊躇もなく兵士を叩き潰すだろうか?
エアリアルの操縦に慣れている彼女ならば、兵士をエアリアルの手で掴んで拘束するとか、ビームサーベルで足場を器用に崩すくらいの芸当はできたはずである。
(しかもエアリアルが駆けつけた同時に実行していたことから、下手するとミオリネの敵かどうかも判断がついていない状態での行動である。)
これらの疑問点に対して考えられるのは「スレッタ」が「エリクト」の影響を受けていたから、言い換えれば、「スレッタの人格がエリクトになりつつあるからだ」と言えそうなのだ。
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スレッタがエリクト・サマヤの人格に支配されつつあると考えられる3つの要素
前提としてプロローグ時点で4歳だったエリクトが何らかの原因で、精神(魂)だけがルブリス(エアリアル)に取り残されているという仮説を立てた上で説明を行う。
- エアリアルの青いパーメット
- スレッタに興味を示さないプロスぺラ
- 12話でのスレッタの行動
①エアリアルの青いパーメット
プロローグでルブリスに乗ったエリクトには、機体からの青いパーメットが体に流入している様子が見られた。
6話でのエランとの決闘では、ガンビットを展開したエアリアルが領域を展開したことで、エランは青白い光や子供の声を聴き、強化人士になる前の記憶なども調整によりないはずなのに、誕生日を祝ってくれる誰かを思い出した。
9話でのシャディクとの決闘の際にエアリアルは青白く光り、スレッタはコックピットないでナニカと話をしながら「私たちでミオリネさん、助けるよ!」と言うセリフと共にアンチトードを無効化し、機体の再起動を行う。
12話で、展開しているガンビットからの情報で、プラント・クエタ内部のミオリネの居場所をピンポイントで特定し救援に向っている。(この時のエアリアルも胸部が青くなっている。)
これらのことから、青いパーメットが機体に現れるときは、機体からパイロットへの交流が図られている可能性が高い。
つまり、スレッタには6話ではナニカ(エリクトの意識)の声が「聞こえていた」程度だったものが、9話では会話をし、12話で会話を信じて行動を起こすまでに、段階を経て進展しており、話数が進むにつれ、エアリアルの中にあるエリクトの意識が、青いパーメットを介してスレッタを侵食していると考えられるのだ。
②スレッタに興味を示さないプロスぺラ
プロスぺラのかつての同僚、ベルメリアに「なぜ娘さんをMSに乗せるのか?」と問われたり、デリングに自身が「エルノラ・サマヤ」である事を告げた彼女だが、彼女は一貫して娘であるスレッタに対して興味を示す様子はなく、エアリアルに向けて発言などが多くみられた。
もしこれがエアリアルにエリクトの精神が入り込んでおり、スレッタは娘の肉体だけの存在(肉体を維持できる程度の人格が埋め込まれている)とは別々になっているということだとしたら、プロスぺラがスレッタに興味を抱かないのは当然だろう。
なぜならGUND技術の進んだ水星の魔女の世界で、肉体はほとんど代替可能なのだから価値が低く、精神こそ本人の証であり相対的意に価値がある。
(しかもプロスぺラ自身も腕などが義手なのだから、肉体そのものに価値を見出してはいないだろう。)
また9話でのエアリアルの活躍を見て涙を流すシーンなどを考えると、徐々にスレッタの人格をエリクトが侵食している様子は、プロスぺラにとっては「本物の娘の魂が本来いるべき場所、スレッタの肉体に戻ってきている兆し」であり、母親として嬉しさがあふれた故なのかもしれない。
③12話でのスレッタの行動
上記を踏まえて考えると、スレッタが12話で見せた笑顔は4歳の頃のエリクトのものであると言えそうだ。
プロローグでもルブリスのガンビットで物事がつく前に敵を撃墜し、その姿を見て「きれいな花火だ」と喜んでいたエリクトは、ミオリネさんを困らせる悪いことをする兵士を止めるために(何も考えることなく)叩いてやめさせ、ミオリネを助けられたことが素直にうれしいので笑顔で手を差し出す。
エリクトが善悪の判断や、物事が付く前にエアリアルに取り込まれ、エアリアルを介してスレッタにその人格が乗り移る。
プロスぺラが洗脳した一時的な瞬間は、スレッタマーキュリーとしての人格はどこかに消し飛び、エリクトに上書きされたと考えると、この不自然で狂気じみた行動に一応の説明はつくのではないだろうか?
(12話ではスレッタはプロスぺラに会った後、ミオリネに会うまで誰とも接触していないようである。)
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まとめ:スレッタはエリクトと別人なのか?
上記で述べたスレッタがエリクトの人格に侵食されつつあるという点を踏まえて、スレッタとエリクトは別人なのか?という事を考えると「別人と言えば別人だが、エリクト本人でもある」と言えそうだ。
プロローグから考えると、本編でのスレッタの年齢が合わないという問題があるが、これはプロスぺラが娘のエリクトの肉体だけは生存させたまま、エリクトの本当の人格(魂)を取り戻した時に上書きしやすい(プロスぺラが洗脳という名の説得で余計な知識をリセットしやすい)人格を調整するために時間がかかったからと考えられる。
水星の魔女の世界では、GUND技術により、人間の肉体面での改造はかなり発達している。
また、精神や魂などに関しては(少なくとも視聴者としては)未知数であるが、強化人士4号のエラン・ケレスの様に記憶の操作などを人為的に行うことが可能であるため、スレッタの人格を作り上げることは不可能ではないだろう。
このため、「エアリアルを通してスレッタの肉体にエリクトを戻すことで、本物の娘を取り戻す」のがプロスぺラが目指しているところなのかもしれない。