パプテマス・シロッコの真の目的とは?考えられる2つの目的
機動戦士Zガンダムに登場したパプテマス・シロッコは、木星船団の代表で旗艦ジュピトリスの艦長で、UC0087年、木星から帰還した後、地球連邦に所属するも後にティターンズに入隊し、わずか半年足らずで、ティターンズのバスクに次ぐ、ナンバー3ポジションになる。
ちなみに木星船団はMSの核融合炉の燃料「ヘリウム3」の採取を行っている。
また、独自に以下の様なMSの設計や開発を独自で行い、製造したMSに搭乗し高い操縦能力も持つ。
搭乗もこなしたのは以下の3機。
- PMX-000 メッサーラ
- PMX-003 ジ・O
- RX-160 バイアラン(漫画版)
以下は設計・開発のみおこなった機体。
- PMX-001 パラス・アテネ
- PMX-002 ボリノーク・サマーン
- PMX-004 タイタニア(Gジェネでの設定)
- RX-110 ガブスレイ
- RX-139 ハンブラビ
ジ・0には、(Zガンダムにも搭載されているような)バイオセンサーが搭載されているとされているが、正確にはシロッコが独自に開発したサイコミュが結果としてバイオセンサーと同性能を持ったものだとされている。
その為厳密には、Zガンダムとジ・0のバイオセンサーは全く同じものではない。
グリプス戦役では、ジャミトフ、バスクを謀殺し、ティターンズの実質的トップとなる。
最終決戦ではMSジ・0でエゥーゴのカミーユのZガンダムと激戦を繰り広げるが、バイオセンサーを発動させたZガンダムのウェイブライダー形態の突撃を食らい、シロッコはやられてしまうが、同時にカミーユの精神を道連れにし、精神崩壊に追いやった。
戦艦の艦長、MSの設計、パイロットと多才な姿を見せたシロッコだが、グリプス戦役での彼の目的は一体何だったのだろうか?
以下の2つがその目的と考えられる。
- シロッコの目的①:地球に住む人類の排除
- シロッコの目的②:女性リーダーの統治と社会進出
スポンサーリンク
シロッコの目的①:地球に住む人類の排除
Zガンダム21話で、シロッコは「私の使命は、重力に魂を引かれた、人々を解放することだと思っている」と語っており、地球に住む人類の排除こそがシロッコの目的だったのである。
これは、シロッコ自身が木星帰りで、重力圏を脱出したことが影響しており、この点だけで考えると、Zガンダム50話でカミーユの言っていた「本当に排除しなければならないのは、地球の重力に魂を引かれた人間たちだろ」という発言と同じ考えであり、ある種カミーユとシロッコは同志になれた可能性があったのだ。
さらに、「地球に住む人類の排除」という部分は本質的にジャミトフのティターンズやハマーンのアクシズ、ブレックスのエゥーゴとも同じなのである。
小説版では、ジャミトフはギレンの主義自体には共感し、手段は間違ってたと評価している。
その為、ジオン残党狩り(スペースノイドの弾圧)を建前に戦争を起こして、地球経済を疲弊させ、地球上の人間せん滅させるという真の狙いの元の元ティターンズを結成した。
ハマーンはミネバ・ザビを担ぎ、ザビ家復興をもくろむが、同時にザビ家(ギレン)の思想も受け継いだことになり、地球に居座る人類を抹殺するのが目的となる。
ザビ家はジオンズムダイクンの「人類はすべて宇宙(スペースコロニー)に移り住むべきであり、その為にスペースノイドの自治独立を主張する」という思想を受け継いでジオン公国を立ち上げた。
そのザビ家の復興ということは、ザビ家の思想もハマーンは受け継いでいるということになる。
ZZガンダムで、ハマーンがジュドーに敗れたときに言った「賢しいお前らのおかげで、地球にしがみ付く馬鹿どもを抹殺できなかったよ」というセリフが彼女の思想を現していると言える。
また、スペースノイドの代表として組織されたエゥーゴもこのスペースノイドの自治独立が目的でもある。
つまり、シロッコの真の目的の本質はジャミトフやハマーン、ブレックスとも同じだったのだ。
この目的だけ考えれば、もしシロッコが生きていれば、逆襲のシャアでシロッコとシャアが手を組み、アムロと戦う姿も見れたのかもしれない。
スポンサーリンク
シロッコの目的②:女性リーダーの統治と社会進出
地球に住む人類の排除を果たす目的(または排除後の世界の在り方)として、シロッコには真の目的を果たす上の具体的な手段として、2つ目の目的「女性をリーダーとした世界を作り、女性の社会進出を目指す」というものがあった。
しかしこれは作中では、あまり好意的にとらえられることは少なく、カミーユはシロッコに従うサラを「ただ利用されているだけ」と批判されたり、シロッコに寝返ったレコアもシロッコの目的は、権力を手に入れるまでの建前程度にしか認識されなかった。
ちなみに小説版Zガンダムでは、シロッコはサラに愛情、恋愛感情に近いものを持っていた。
シロッコには妹がおり、サラに対し自身の妹と重ねてみていたのだが、自身は天才であるというプライドなどや、自身の感情には自覚がなかったため、「女性を利用していた」という態度が前面に出てしまい、周囲の人物には理解されることはなかったのである。
さらにシロッコのプライドから来る自己中心的な性格や言動は、ティターンズの総帥ジャミトフを謀殺するなど権力を欲しているように見える誤解を生む要素が多かったことも影響している。
しかし「女性をリーダーとした世界を作り、女性の社会進出を目指す」という目的自体には、背後でシロッコが権力を握りたいという野望があるというわけでもなく、シロッコに裏はなく、実はそれが本心だった可能性が高い。
その上でシロッコは彼自身を自身をゲームのプレイヤーだと位置づけていてのだろう。
サラへの好意自体は本物である事や、小説版第3巻、11章で「女系政治を見届けたら、恒星旅行にでも出るさ」という発言が根拠となっている。
さらに言えばシロッコはアニメなどで「歴史の傍観者」でいたいなども発言しており、この態度にも矛盾しない事もある。
カミーユはシロッコへ向けて「戦争を遊びに(劇場版では手段に)している」という発言をしているが、これが本質を得たものではないだろうか。
(カミーユはニュータイプであり、ニュータイプは一部では本質をとらえることができる能力とも言われているから、ある種信頼できる根拠である。)
シロッコは人工的に作られたデザインベビーであり、両親や家族のぬくもりを知らない本当は寂しい人なのだが、シロッコの癖のある性格のせいで、要らぬ誤解を生み、本心を分かってはもらえなかったのかもしれない。
シロッコもニュータイプと言われる人物であり、ニュータイプは誤解なく物事とを理解する力を持っているというのだが、周囲には全く理解されず、シロッコの方もなまじ優れた才能がある故に、周囲を理解しようとしなかったのはとんだ皮肉である。
まとめ
シロッコの目的は「地球に住む人類の排除」と、「女性リーダーの統治と社会進出」の2つであり、エゥーゴ、ティターンズ、アクシズとも同志になれる可能性があったが、シロッコ自身の性格や素質、周囲との様々な点でのすれ違いや誤解から、理解されることはなかった。