歴代6バージョンのアトムの共通する6つの性能
2017年には鉄腕アトム誕生までの物語を描いた、「アトム ザ・ビギニング」が公開されたが、今回はそのアトムについてその性能について簡単にまとめてみることにした。
現在、A106が後のアトムとなるとは断定できないが、A106の読み方は「アトム」とも読めなくはないので可能性は高いだろう。
ところで、これまで幾度と『鉄腕アトム』はリメークされ、いくつかバージョンがあるため「アトムの7つの力」にはばらつきがある。
しかし共通すると思われる部分は以下の通りである。
※共通しているとしているが、必ずしも当てはまるわけではなく、おおよその傾向という意味である。
- 身長135センチ、体重30キロと、小学生3・4年生の平均的体格(データにより差が大きく、一概に言えないが。)
- 電子頭脳やセンサー類を「胴体」に内蔵し、アトムのエネルギー補給やメンテナンスをここを開閉することで行うことができる。
- 使用しているエネルギーはウラン化合物を含む「エネルギーチューブ」
- 内蔵された原子(核融合)炉を使用し大気圏内では「ジェット推進」で熱エネルギーを利用して飛行し、宇宙では炉でプラズマを発生させ「ロケット推進」航行する。
- (プラスチックを基に開発された)ケブラー繊維とカーボン・ファイバーの人工皮膚で体は覆われ、その皮膚には数千個の感覚センサーと通信センサーを持つ。またこの皮膚は強度・防水性・耐熱性に優れ、数百~千度程度の熱はものともしない。
- 視覚映像システムは頭部に内蔵されている。
アトムの7つの力の変遷を6つのバージョンで見てみた。
こちらでは上記で述べた通り、様々なバージョンでのアトムの力をまとめてみることにした。
- 原作マンガ
- 1963年のアニメ第1作(モノクロ版)
- 1980年アニメ第2作
- 2003年ASTROBOY版
- 2009年映画ATOM版
- 小学一年生版&小学四年生版 鉄腕アトム
①原作マンガ
1:善悪を見分けられる電子頭脳
15兆8000億ビット(約1.7テラバイト)の記憶容量がある。
⇒ 後に「よい人とわるい人の見分けがつく」なり、電子頭脳の位置も頭部から胴体へ変更された。
2:60か国語を話せる人工声帯
⇒連載当時(1952年)の国連加盟国数から。
3:(食塩水の)涙も出るサーチライトの目
⇒一見、涙機能は要らない気もするが、食塩水であり、もしその濃度が0,9%と人間の体液と同じ(生理食塩水)ならば、人々を救助する際にこの涙は有効活用できるかもしれない。
4:10万馬力が出せる
⇒後に天馬博士により100万馬力にパワーアップした。
5:足のジェットエンジン
大気圏内では最大マッハ5、宇宙空間ではロケットに切り替え、最大マッハ20で飛行可能。
6:送信アンテナ
鼻を伸ばすことで送信アンテナにできる。
7:後の追加要素
⇒お尻にピストル、食べたものを貯める「食物ふくろ」、覚えたことを記憶する「記憶倉」をもつ。
②1963年のアニメ第1作(モノクロ版)
1:電子頭脳
どんな計算も1秒でできる。
⇒皮肉に見れば、「1+1」だろうと、「1+1+3*-9」だろうと1秒かかるのだ。
2:60か国語を話せる人工声帯。
原作と同じ。
3:超高性能な耳
普通の(人間の)1000倍もある聴力を持ち、2000万ヘルツの超音波を聞き取ることも出来る。
⇒2000万ヘルツとは「超音波検査」に使われる周波数で、超音波を使い餌をとるコウモリよりもはるかに高い音波である。
4:サーチライトの目
5:10万馬力を出せる
原作では天馬博士により100万馬力が出せるようになっていたが、アニメでは主題歌のまま10万馬力にパワー据え置き。
6:足のジェットエンジンで飛行
7:マシンガン
お尻から「1秒間に」500発連射できるマシンガン装備。
⇒ピストルから更に物騒になった。
また、「Metal Storm」というマシンガンは世界最速の連射速度で、分速100万発らしくそれには敵わないが、(一人で使用できる)歩兵用のマシンガンとしては分速1150発連射できる「MG3」にも大きく勝るので恐ろしい威力に変わりなし。
この速度に対抗できそうなのは、弾丸を止めることのできるスタープラチナか、2秒で1000発のパンチを繰り出せる「カイリキー」ぐらいだと思われるが、スタープラチナは時間停止を駆使しなかったり、カイリキーは近づかないとアトムに蜂の巣にされるだろう。
もっとも、アトムはセンサーなどが敏感であるから、気配を即座に感じ取れる可能性が高いので、まともに戦っても勝てない気がする。
③1980年アニメ第2作
1:電子頭脳
160か国語を同時通訳可能な電子頭脳を胸部に持つ。
2:耳
(人間の)1000倍に音を拡大して聞くことができる耳を持つ。
3:サーチライトの目。
4:10万馬力
10万馬力で、重水素燃料を使用する核融合エネルギーで稼働。
5:ジェット飛行
足と腕を使いジェットで飛行。
⇒ウルトラマンみたいな飛び方になるのだろうか?
これまでのアトムは足だけ(しか飛ぶ能力がない)で飛行していたが、腕だけでも飛べる(足を失っても)ようである。
6:マシンガン
お尻から1分間に1分間に600発撃てるマシンガンを装備。
⇒マシンガンの性能は、アニメ第1作に比べて大幅に低下した。これならばカイリキーにも勝ち目がある。
しかしこのアトムは「レーザーブラスト」という新兵器を搭載しているため、マシンガンはあくまでサブウェポンだよ的な配慮がなされた結果なのかもしれない。
7:レーザーブラスト
右手人指差し指にレーザーブラストを装備。
⇒多分メイン武装。
時代の変遷とともに「心優しいアトム」も武装を強化しなくてはならなくなったのは何とも悲しい話である。
④2003年ASTROBOY版
1:トビオの記憶を移植した高度な人工頭脳。
⇒アトムは、その生みの親、天馬午太郎博士の亡くなった息子「天馬飛雄」に似せて作られ、登場当初はアトムではなく「トビオ」と呼ばれていた。
また、トビオは人間の様に成長しないことに天馬博士は気づき、サーカスに彼を売りとばすのであった。
そしてサーカスの団長により「アトム」と命名されたのである。
(なお、アニメ2期では天馬博士がアトムと命名した模様。)
2:耳
人間の1万倍の聴力。
⇒これまでアトムの10倍聴力に優れるようだ。
3:目
透視能力を持つ目。
⇒超能力者みたいな雰囲気だ。
4:10万馬力
5:足のジェットで飛行。
6:ビーム兵器
右手人差し指からフィンガービーム。
⇒マシンガンは廃止され、時代はビームへと移行した。
7:アームキャノン
左腕にアームキャノン砲搭載。
⇒右はビーム、左は実弾とバランス良い武装配置かと思ったが、左腕の方が火力重視だと思う。
カプコンのゲーム「ロックマン」も一作目は鉄腕アトムを題材としたゲームになる予定だったそうだが、そのロックマンから要素の逆輸入が行われた形ではないだろうか?
⑤2009年映画ATOM版
1: トビーのDNAと記憶を移植された人工頭脳を持ち、ロボット言語を聞き分ける耳がある。
⇒この作品は日米台湾の合作であり、トビーとは「テンマ」博士の息子である。(原作のトビオのポジション)
2:透視能力がある目。サーチライトの役割も果たす。
⇒これまでのアトムの中でも最も高性能な「目」だと思われる。
3:ブルー・コアが埋め込まれた心臓部。
⇒ブルーコアとは、流星の破片から生成された究極のエネルギー。
原子力よりも強力かつ環境汚染をしない安全なエネルギーとされ、善の心も生み出すが、その反面負のエネルギー『レッドコア』も生成し、ブルーコアとレッドコアは合わさると相殺し大爆発を起こすという問題もあるようだ。
また劇中ではこのエネルギーを狙う者から追われることとなった。
「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」に登場する、完全無公害・完全リサイクル可能な夢のエネルギー「シズマドライブ」に性能面では敵わないが、シズマドライブは所詮エネルギーに過ぎず、ブルーコアは精神的な萌芽を促す点は大きく違うと言えるだろう。
(もっとも、危険性やリスクも「シズマドライブ」の方が大きいので、一概に甲乙つけられるものではない。)
ゲッター線とも異なるようだが、将来に向けた可能性を秘めたエネルギーには違いない。
4:ずばぬけたパワー。
⇒ずば抜けていることは確かでもアトムの代名詞とも言える「10万馬力」なのかは不明。
5:足のジェット噴射で飛行。
6:お尻にマシンガン内蔵
⇒マシンガンの性能は不明。
しかし腕のアームキャノンと加えて「実弾重視」な武装となっている。
7:アームキャノンに変形する腕。
⇒戦闘時に腕が変化する模様。
⑥その他:小学一年生版&小学四年生版 鉄腕アトム
1:空を飛ぶ
⇒おそらくいつもの通り足のジェットで飛ぶ。
2:100万馬力
⇒原作以外での登場は初めて。
3:1000倍の聴力
⇒人間の1000倍だと思われる。
4:マシンガン
⇒例によってお尻からだと思われるが、性能は不明。
5:空気から飲み物生成。
⇒できなくはなさそうだが、アトム自体には不要と思われる。
人にあげるようの機能?
6:カメラの目
⇒録画機能がついているのだろうか?
7:額にあるタイムマシン機能付き第三の目
⇒中二病ぽい機能だが、作中では物語に大きく関わる設定である。
ちなみに、『小学四年生版 鉄腕アトム』のアトムは、超科学力をもつ宇宙人ルルル星人より魔改造され、(従来のアトムの?)13倍の硬度の人工皮膚を持つそうである。
アトム ザ・ビギニングについて
後のアトムの生みの親、天馬午太郎と、育ての親であり理解者となるお茶の水博志。
大災害が起きた後の日本で、2人は共に日夜ロボット開発に明け暮れ、その末に「A106(エーテンシックス)」という1体のロボットを生み出すのだった……。
なお、放送はNHK総合で行われるテレビアニメとなるようだ。
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まとめ
今回はアトムの性能変遷を順に追って言ったが、制作環境や整合性などは統一されていないので、ばらつきがある。
とは言え、アトムが「心優しい科学の子」であることには変わりなく、これからも永遠のロボットヒーローであり続けるのは間違いない!!