エヴァ 個人的に気に入った名言
公開から十数年経った今でも、依然根強い人気を誇る『新世紀エヴァンゲリオン』、使徒と人類はネルフを中心に死闘を繰り広げ、ストーリーはいろんな意味で衝撃的な作品である。
人造人間であるエヴァンゲリオンや兵器も魅力的ではあるが、それ以上にこの作品が人気なのは、キャラクターの個性が光るためであろう。
そんなキャラクター達はいくつもの名言を生み出してきたが、今回は個人的に印象に残った(好きな)名言を上げていこうと思う。
- ①葛城ミサト
- ②渚カヲル
①葛城ミサト
「風呂は命の洗濯よ」
何気ないセリフであるが、日々ストレスの多い現代人にとって真理をついている一言だと思う。
誰にも言えず抱え込んでいる苦しみをそっと吐露してみたり、お気に入りの歌を大声で歌ってみたりと、温かいお湯が様々な悩みも溶かしてくれそうである。
人前では泣けないことがあってもお湯の中ならば分からないから安心だ。(涙を流すことはストレス解消につながる)
衛生面において清潔さを保つという意味でも重要だが、のんびりお湯に触れる行為は精神も安らげることなのだ。
「あら。希望的観測は人が生きていくための必需品よ?」
意識こそしないが、必需品である。
作戦成功率の低い、無理難題ばかりに挑むネルフだがとても絶望ばかりだと落ち込んでもいられない。
ネルフの作戦は人類を使徒から守るため、絶対に成功させなければならないが、その指揮をするミサトがいつも絶望的な様子であれば士気にも関わるだろう。
社会的にも、自分自身を奮い立たせるためにも、この必需品は忘れてはならない。
ちなみに類義語として、勇者王ガオガイガーの「勇気」がこれに該当する。
「今の自分が絶対じゃないわ。あとで間違いに気付き、後悔する。私はその繰り返しだった。ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ…でも、その度に前に進めた気がする。」
個人的には、この夏エヴァで終わっても良かったんだよね。だけど庵野監督は新劇で完璧なオチを用意してくれた。ひとつの作品として完成したものを作った後でそれ以上の者を提示した例ってあまりないんじゃないかな。#シンエヴァ#シンエヴァンゲリオン劇場版 https://t.co/JQ0j8VxuQo
— 夢沢那智 (@Nachi_Yumesawa) June 18, 2022
ミサトだけではないだろう。
とにかくフレーズの一言一言が共感できるものばかりである。
10代の若者にはまだピンとこない言葉なのかもしれないが、年を重ねれば重ねるだけ味わいを増す言葉である。
本当に毎日、「ぬか喜びと自己嫌悪を重ねるだけ」だと思う瞬間は多く、後悔ばかりである。
しかし、「今の自分が絶対じゃないわ。」ということを忘れてはならない。
追い詰められて心に余裕をなくし、命を絶つ人たちがいる。
そんな人たちはどこか「今がすべてで(最悪の結果も出てしまった)、未来もそうなんだ。」と思い込んでしまっている節があると思う。
自殺が良いとも悪いとも思わないが、今のあなたが絶対ではない。
生きる限り変化し続ける。「その度に前に進めた気がする。」と思うのだ。
希望的観測にしかすぎないにしろ、どんな人も変わることはできると思う。
葛城ミサトの言葉を借りるなら、「あんたまだ生きてるんでしょう!?だったらしっかり生きて!それから死になさい!!」と言いたい。
彼女の言葉は人の根本(生死)に関わる大事な言葉が多いと思う。
大事な人々をセカンドインパクトで亡くし、(絶望もしても)前に進むことをあきらめなかった彼女だからにじみ出た言葉だと思う。
普段おちゃらけている分、そのギャップや言葉の重みがある。
②渚カヲル
「歌はいいね」、「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。そう感じないか、碇シンジ君」
リリンとは(エヴァンゲリオンの世界的に元々使徒であったとされる)人類のことである。
このカヲルの問いかけには、はっきりとは答えなかったシンジだが、著者としては文化の極みだと感じる。
今の所、人類以外に会話することを通じて、ここまで発展を遂げてきた種族は見つかっていない。
会話、つまり言葉とは人類にとってなくてはならないものである。
そんな言葉を使った(使わない場合もあるが)歌は自身の感情や願い、これまでの歴史などを簡単に、相手に伝えることができる。
殺伐とした戦場で傷ついた人々も、日々の仕事に追われ忙殺される人も、何も持っていなくとも、歌うだけで笑顔になったり、気持ちが温かくなる。
アイドルや歌手、音楽家は合理的に考えれば、何の役にも立たない生産性のない存在である。
しかし、現に彼らは様々なところで求められ、人々に力を与え続けている。
言葉はわからなくとも、歌のメロディーや歌手の仕草などから、共感してエネルギーをもらえるのだ。
歌が力になることを表しているが、例えばマクロスシリーズだろうし、やはり歌は素晴らしいものだと思う。
人類のよりどころには、宗教もあるが、歌そのものもこれに該当するだろう。
「他人を知らなければ裏切られる事も、互いに傷付く事もない。でも、寂しさを忘れる事もないよ。人間は寂しさを永久になくす事は出来ない、人は一人だからね。ただ忘れる事が出来るから人は生きて行けるのさ」
人生を重ねれば辛いことばかりだが、忘却は人に与えられた救いなのかもしれない。
知らぬが仏ということわざもある通り、知らないことや、忘れることは心穏やかに過ごすために必要不可欠なのである。
「寂しさをなくしたいけど、裏切られたくないし、傷つかない」そんな方法を人々は模索している気がする今日この頃。
しかし簡単に人とつながれ、匿名で利用できるネットでも、裏切られて、傷つく事ばかりである。
寂しさを受け入れるのか、傷つくことに立ち向かうのか?悩む所ではあるが、カヲル君としては「後者」を進めているように著者には思える。
なぜなら、寂しさも、傷つくことも忘れられるから、大丈夫だ!!と言っているようにも取れるからである。
カヲル君はシンジにとって素直に好意を抱ける存在であり、受け入れようとしたが故に後に「裏切られた」と感じる出来事に遭遇し、次第に絶望していく。
しかし、カヲル君の本当の意義(だと勝手に思ってる)、「傷ついても忘れられるから、進むんだ」というメッセージにシンジは気づけていなかったのではないだろうか。
進むこと自体が良いとも悪いともいえないが、シンジはカヲル君の意思も背負って生きなければならないと思う。
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まとめ
もちろん葛城ミサト・渚カヲル以外にも、魅力的なキャラクターや名言もたくさんあるが、個人的にはこの2人の名言が印象的であった。
どちらも人の真理に近いと思うものばかりだし、どこか勇気づけられる言葉ばかりだと思う。
日々がいろんな意味で戦場という人も少なくないと思うが、時には彼らの名言を振り返り、明日へ立ち向かうエネルギーをもらうのはいかがだろうか?