今回はアナハイムがMSの発想や運用の転換点となった「アッシマー」の登場と、それに対抗して後に計画された「Zプロジェクト」に関連する機体を紹介する。
MSアッシマーの登場と「Δプロジェクト」
MSは運用状況に合わせて武装を変更できるメリットがあるが、大気圏内での移動速度が遅いため「輸送」が戦略上のデメリットとなっていた。
その為、1年戦争以来、この問題を輸送機(ミデア等)や支援機、SFS、また、ジオンでは気圏を単独飛行可能なMS「グフ・フライトタイプ」が開発されるが、「大気圏単独飛行可能なMS」という要求を十分に満たすものは未だに作られておらず、1年戦争後も「大気圏単独飛行可能なMS」開発は続いていたのである。
「Δプロジェクト」発足
そのような状況下で問題点を克服し要求を満たすMS、NRX‐044アッシマーが開発されたのだ。
またアッシマーと同じころ、小惑星アクシズではモビルワーカー「ガザB」を発展させた可変MS「ガザC」が作られるなど、アナハイムにとって衝撃の情報が舞い込んだ。
このこともありアナハイムは、UC0084以降、関係のあったエゥーゴからの「本格的な可変MS」開発依頼に本腰を入れることとなり、M・ナガノ博士を中心として可変MS開発計画「Δプロジェクト」が発足したのである。
前途多難な「Δプロジェクト」と「メタスフレーム」の開発
エゥーゴはアナハイムに以下の4つの条件を可変MSに求めたが、その開発は困難を極めていた。
- MS形態での頭頂高20m以下
- 変形所要時間0.5秒以下
- 宇宙・地上どこでも使用可能
- オプションなしかつ単独での大気圏突入可能
ガンダムのコア・ファイターをはじめとする可変戦闘機のノウハウや公にされていない極秘資料やデータを基に、デルタガンダムが開発されたが、フレームの強度に問題があり可変に支障をきたすという事で、実質的には失敗に終わったのである。
(最もデルタガンダムから変機構を取り去った高性能MS「百式」をもたらすとはいえ)
そこで可変技術の模索が始まるが、偶然にもエゥーゴからティターンズのMS「ガンダムMk‐Ⅱ」つまりその機体のフレーム「ムーバブル・フレーム」技術がもたらされたことで行き詰っていた事態は好転を迎える。
そして、この技術を取り入れることで、単純な変形機構で機体形状を大きく変えることができるプラットホーム「メタス・フレーム」がゲルハルド・グルック博士により完成し、アナハイムの可変MS開発は加速していくのだった。
メタス・プロジェクトと実験
初期可変MS開発計画はアナハイムの中でも予算が大きく編成されていることもあり、
プロジェクト発足2か月で「MSA‐005メタス」の試作機が完成する。
そしてこの機体は以下の3つの目標実現をめざし更なる発展を求めて開発がすすめられたのである。
- 制空性能を持つ可変MS
- MA形態での音速飛行
- MAでの音速飛行中のMS形態への変形
1つ目、2つ目に関しては、メタスのMA形態から分かるように制空戦闘機のような形態であるため、制空戦闘機と同様の性能を発揮できたが、そちらに重点を置く余り、MS形態での戦闘能力は今後の課題とされてしまった。
3つ目に関しては「X‐1」の機体名称の下、様々な実験・シミュレートがなされ運用実験の準備が整えられ実験が行われた。
そしてエゥーゴからの要求「変形所要時間0.5秒以下」や1つ目・2つ目のコンセプトなどの課題をクリアしていったが、肝心の「MAでの音速飛行中のMS形態への変形」を行っている際中に空中分解してしまい実験失敗となる。
またこのX-1運用実験での問題点が洗い出されたことにより、その開発実験はこれを以て終了となったのである。
メタス・プロジェクト試作機「メタスX‐1」
メタスプロジェクトの運用実験で用いられた機体であり、武装は搭載されていない。
開発当初はMS形態への変形は考慮されておらずMA形態だけの機体が製作されるも、後の運用実験の段階でMS形態への変形を行える機体が製作された。
MA形態での音速飛行は可能だが総合的な性能(MS形態での飛行など)では、地球連邦軍のアッシマ―を超えるには至らなかった。
MA形態ではプロペラントタンク・センサー・電子機器を搭載した「テールスタビレーター」を搭載し、高い機動力と、ステレス性、索敵能力を誇るようだ。
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まとめ
- 一年戦争以来のMSの欠点を克服した「アッシマ―」に対抗してΔプロジェクトは発足したが、アッシマ―の技術はそう簡単には乗り越えられなかった。
- 「MAでの音速飛行中のMS形態への変形」やMS形態での戦闘能力など問題はあるが、メタスX‐1の実験、その結果が可変MSにもたらした影響は大きいものと言えそうだ。