ラプラスの箱とは?
「ガンダムUC」で物語の重要な鍵を握るとされ、「連邦の体制を覆すほどの力を秘めている」とまで言われる「ラプラスの箱」。
episode2「赤い彗星」では、フルフロンタルが「誰も見たことがない、中身も定かではない『箱』なるものに、本当に連邦政府を覆すほどの力が秘められていると?」とバナージに疑問を投げかけながらも、その正体を探ろうとしているのが「ラプラスの箱」なのだ。
作品を一回は見てみても(テレビ版を見ている最中かもしれないが)「結局あれなんだったんだ?」と思った人もいるはず。
そこで今回は私なりに、ラプラスの箱とはどんなものか簡単にまとめてみることにした。
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ラプラスの箱の正体を考察
ラプラスの箱の正体は、ある石碑の入った箱のことある。
しかし重要なのは箱ではなく、中身の石碑の方である。
その石碑とは宇宙世紀0001年、つまり、宇宙世紀の始まりの年に起きた「ラプラス事件」と呼ばれるテロ事件で失われたはずの「宇宙世紀憲章のオリジナルプレート」のことであった。
このため、正確に言えば「ラプラスの石碑」が物語の鍵を握るのである。
(箱という呼び名は、実体が石碑であることを隠すために名づけられたと思われる。)
そしてこの「ラプラスの箱」は、バナージ達がいた工業コロニー「インダストリアル7」を建造している巨大設備、コロニービルダー「メガラニカ」(劇中では氷室と呼称)された場所の奥深くに秘蔵されていたのであった。
そんなラプラスの箱(石碑)は、「宇宙世紀憲章」に書かれた理念に基づき、政治を行う宣言・宣誓文が書かれていたが、連邦首相官邸「コロニーラプラス」の爆破テロにより、当時の連邦大統領が殺害される「ラプラス事件」が発生し、オリジナルの石碑は消えたはずであった。
後にオリジナルな石碑に代わり、地球連邦政府はそれと「全く同じ内容である」として(←重要)、新たな宇宙世紀憲章を公開し、政治はそれに従い行われていった。
しかし実は、オリジナルな石碑には、新たなものにはない一文があり、その内容の与える影響こそが、連邦軍をも揺るがす力があるとされているのである。
その一文とは、「将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者達を優先的に政府運営に参画させることとする。」というもので、簡単に言えば、新人類を政治の中枢に取り入れるというものであった。
つまり、当初、地球連邦政府は、「宇宙で暮らす人々の権利と可能性」を保証していたという何よりの証拠であり、後の憲章ではこの一文が削られ、連邦政府によりスペースノイドの人々は「権利や可能性」を弾圧されていくのであった。
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「ラプラスの箱」に連邦政府を転覆させる力をもたせた2人の人物
「ラプラスの箱」には、連邦政府を転覆させる力をもたせた2人の人物がいたのだった。
- サイアム・ビスト
- ジオン・ズム・ダイクン
ビスト財団創設者「サイアム・ビスト」
新たな憲章の下、連邦政府による統治が行われ、オリジナル石碑に書かれていたスペースノイドの保証する一文は、ラプラス事件によって永遠に闇に葬られるはずであった。
だが、その裏で、ラプラス事件の実行犯の1人とされる「サイアム・ビスト」がこの石碑を入手していたのであった。
そしてこのラプラスの箱を使い、サイアムは連邦政府を脅迫し始めたのである。
(後にサイアムは連邦政府に対し弱みを握ることで優位に立ち、アナハイムや地球連邦と強い結びつきを得て、ビスト財団を設立する。
当然、財団の莫大な影響力から、連邦政府はラプラスの箱にうかつに手出しすることはできない。)
だからと言って、その時点ではラプラスの事件が、連邦政府保守派により引き起こされた事の証になる程度のものでしかなかった。
なぜなら、オリジナルの石碑にはスペースノイドの権利を約束する条文があり、実はそれをよく思わない連邦政府内保守派により、事件は意図的に引き起こされたことが、明らかになったという程度のことに過ぎなかったからだ。
つまり、この時点でラプラスの箱が公表されたとしても、保守派には大打撃を与えられるが、だからと言って、地球連邦が覆る事にはならず、再び宇宙世紀憲章の見直しが行われる程度ですむ事で、政権スキャンダルにとどまることに過ぎなかったのだ。
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ニュータイプ理論提唱者 「ジオン・ズム・ダイクン」
宇宙世紀も半ばを過ぎ、ある男の主張から、このラプラスの箱は連邦政府を揺るがす力を持つこととなるのである。
その男の名はジオン・ダイクン。
彼の考え「人類は宇宙に進出する事で、宇宙に適用した新人類に進化しうる」という、ニュータイプ理論はスペースノイドの間に爆発的に広まり、支持されるようになっていったのである。
(それが後のジオン公国にもつながる。)
もしここで、サイアムの持つオリジナルの石碑の存在が公表されればどうなるだろうか?
オリジナルな石碑には、「宇宙に適応した新人類の誕生が確認された場合は、優先的に政府運営に参画させる」とあったが、「宇宙に適応した新人類」の明確な定義は存在しない。
つまり、上記の定義はどのようにも解釈することが可能で、スペースノイド達が「自分たちが宇宙に適応した新人類だ」と主張すれば、連邦政府は憲章に基づき、政府の運営に優先的に参画させなければならなくなり、事実上、アースノイドで牛耳られている連邦政府を、内部から覆すことが可能になってしまうのである。
当然、ジオン・ダイクンはこのことを知っていた訳ではないが、結果として、「ラプラスの箱」は連邦政府を覆す力を持ってしまったのである。
ここでもし、ラプラスの箱が公表されようものなら、連邦政府のスーペスノイドへの弾圧の歴史は間違っていたことになり、1年戦争で多くの犠牲が出たこと、ひいては連邦政府そのものが間違っているという事実を曝すことになってしまうのである。
そしてスペースノイドにこのと事が知れれば、1年戦争以上の悲惨な出来事になり、全世界を滅ぼしかねない大戦争に発展しかねない恐れもあったのだ。
そのため、連邦政府はラプラスの箱の持ち主、サイアムに便宜を図り、その代わりにこの秘密を秘匿させる取引を計っていたのである。
このラプラスの箱の秘密があったからこそ、ビスト財団は長らく栄華を誇ることとなり、連邦政府は今まで通り統治を行うことが可能だったのだ。
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まとめ
・「ラプラスの箱」の正体は「宇宙世紀憲章のオリジナルプレート」という石碑。
スペースノイドの権利保証を約束した一文の恐ろしさが、忘れたころにやってくる。
・「サイアム・ビスト」と「ジオン・ダイクン」2人の人間の影響が、「ラプラスの箱」に、連邦政府を転覆させる力を与えた。