ジョジョのスタープラチナとは?
『ジョジョの奇妙な冒険』第3部に登場する、空条承太郎のスタンド「スタープラチナ」は機械並みの精密さ、とんでもないスピードとパワーを誇る。
そんなスタープラチナは、吸血鬼DIOの細胞「肉の芽」で、洗脳されている花京院典明を救うため、脳に埋め込まれたそれの摘出を試みる。
外科手術でも、DIOの肉の芽が暴れることや、脳というデリケートな場所故に、摘出困難と言われる(承太郎の祖父ジョセフ・ジョースター談)それを、承太郎のスタープラチナは精密かつ力強く、冷静に除去するのであった。
このエピソードはスタープラチナのパワーやスピードも印象的ではあるが、それ以上にその「精密さ」を表したエピソードだと言える。
(もちろん承太郎自身の冷静な性格や大胆さなど、スタンド使い本人に関しても印象的ではあるが。)
今回は、そんな精密さを誇るスタープラチナにも負けず劣らない、イギリスの遠隔操作ロボットによる網膜手術についての記事が、掲載されていたので取り上げることにした。
(奇しくも、『ジョジョの奇妙な冒険』はイギリスから物語が始まるから、承太郎のスタープラチナと必ずしも無縁ではない!?)
人類の目に光を取り戻す救世主!?「R2D2」
網膜疾患で、右目の中央の視野が欠ける70歳の患者が、世界初の手術ロボット「ロボット網膜切開機器(Robotic Retinal Dissection Device)」
(通称はスターウォーズを意識してか「R2D2」)による手術で視力を取り戻した。
この手術は、オックスフォード大学のロバート・マクラーレン教授らが同大付属のジョン・ラドクリフ病院で実施され、ロボットは、オランダの医療ロボット会社のプリサイズ(Preceyes BV)が開発したもの。
遠隔操作の手術ロボットが、眼球に開けた直径1ミリメートル未満の穴から、真裏にある網膜を切開。
網膜を引っ張り、歪みの素となっていた、厚さ10マイクロメートル(1mmの100分の1)の膜を除去することで、周囲にダメージを与えないまま、視力回復を成功させたという。
このような網膜の手術は、レーザースキャナーや顕微鏡等で、疾患の状態は細部まで分かっても、扱う対象が非常に小さく、高い精度が必要なであるため、現在は外科医の手術は難しいとされる。
人間の弱点を克服するちからッ!それがこのロボットだッ!
この困難を克服するため、「R2D2」は、ジョイスティックとタッチパネルが装備されている。
手術用顕微鏡で進行状況を見ながら、外科医がジョイスティックで操作する。
このことで、手の震えを排除しつつ、指示された動きをロボットの小さな動きに変え、眼球内部での正確かつ微細な(マイクロメートル単位で)手術を可能にした工夫がなされているのである。
今後もオックスフォード大では、網膜に損傷を与えないように、膜をはがす臨床試験手術を今後実施するという。
この手術が軌道に乗れば、若者の失明原因の網膜色素変性や、高齢者の加齢黄斑変性などの遺伝子治療などを想定し、網膜の下にロボットが細い針を入れ、液体を注入する作業を行うなど、新しい治療に繋げていくそうである。
まとめ
『ジョジョの奇妙な冒険』第3部は1990年代に連載を開始した。
当然この頃には、ロボットのように精密な動作が可能とされるスタープラチナよりも、実際は精密な手術ができるロボットは少なかった(なかった)だろう。
言い換えれば、スタープラチナの方が機械よりも精密性は上だったのかもしれない。
しかしながら、2000年代に入り10年以上経過し、やっとロボットの方が、スタープラチナにも負けず劣らない技術を、持つようになってきたのではないだろうか?
スタンドは「その人の精神ビジョンが具現化したもの」とされているが、「いろんな人の経験や技術、思い」が形となり、実現したロボットとて同じではないだろうか?
スタンドも、ロボットも使う人次第である。
これからも技術の発展には期待したい。