クロスアンジュ 天使と竜の輪舞:異端の皇女と人類の敵ドラゴンが織りなすSFファンタジーロボットアニメの全貌
今シーズンのロボットアニメを探索中に、「新アニメ」の文字に惹かれ調査したところ、本作が2014年に既に放映済みであることが判明した。
当時全く知らなかった作品であるが、せっかくなのでその概要を取り上げる。
1. ノーマと化した皇女アンジュの運命
「マナ」と呼ばれる画期的な情報伝達・物質生成技術が発展した世界において、戦争や環境問題は解消され、世界は平和を享受していた。
しかし、その一方でマナを扱えない者が存在した。彼らは「ノーマ」と称され、社会から隔離され、非人道的な扱いを受けていたのである。
ミスルギ皇国の第一皇女であるアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギもまた、ノーマ根絶を理想としていた。
しかし、彼女が16歳を迎え、洗礼の儀が執り行われた際、兄ジュリオによって彼女自身がノーマであることが暴露された。
この事実が判明した途端、国民から絶大な人気を誇っていた彼女は反逆者として扱われ、辺境の軍事基地「アルゼナル」へと追放されることとなる。
(ノーマと判明した者は、アルゼナルへ送致され、その存在は一般に知られることなく軍務に使役されるのが常である。)
アルゼナルにおいて、彼女は名前を奪われ「アンジュ」として、人型機動兵器「パラメイル」を操る「メイルライダー」となり、人類の敵「ドラゴン」と戦う運命を背負うこととなる。
本作に登場する「マナ」は、魔法に類似した技術であり、念動力のように物質を浮遊・移動させる、あるいは拘束・防護用の結界を展開することが可能である。
さらに、マナ使い間のコミュニケーションツールとしても機能する。マナを使用できることは「当然」と見なされ、使用できない者は「異端」として扱われた。
特定の力が少数者に集中すれば、「ずるい」「独占だ」と非難され、争いの原因となる。
しかし、その力が大多数に普及すれば、それは珍しいものではなくなり、逆にそれを有さない少数者が「悪」とされてしまう。
これはいつの時代にも見られる事態であり、相変わらず皮肉な構図である。
2. ノーマたちが対峙する人類の敵「ドラゴン」の正体
ノーマたちが戦う人類の敵、「ドラゴン」とは、「Dimensional Rift Attuned Gargantuan Organic Neototypes」(次元を越えて侵攻してくる巨大攻性生物)の頭文字を取って名付けられたものである。彼らは空間にゲートを開いて出現する。
(これは、いわゆるスーパーロボット大戦Zシリーズに登場する「次元獣」を彷彿とさせる存在である。)
ノーマ達が戦う人類の敵、「ドラゴン」
ドラゴンは、ファンタジー作品に登場する「ドラゴン(飛龍)」に類似した姿を持つが、実は超常的なエネルギーを持つ「ドラグニウム」による汚染環境に適応するために遺伝子操作された人類であることが明かされる。この設定は非常に興味深い。
「マナ」についても深く掘り下げれば興味深い考察が可能であるが、本作はドラゴンといった「ファンタジー」要素と、メカニックといったSF要素が融合しており、今回は内容の大部分を割愛するが、さらに考察を深めれば非常に奥深い内容が展開されるだろう。
『機動戦艦ナデシコ』において、木星から地球に飛来し攻撃を加えていた木星バッタが、実は木星に住む人類によるものであったという「実は人類オチ」は、SF作品においてはしばしば見られる展開である。
しかし、その使い方次第で、物語に大きな深みと面白さをもたらすことができる好例と言える。
登場メカニック&主要キャラクター
ヴィルキス

ヴィルキス
ヴィルキスは、アンジュリーゼ(アンジュ)の専用機である。全高7.8メートルと、『装甲騎兵ボトムズ』のAT(約4メートル)よりは大きく、『機動戦士ガンダム』のガンダムや、『超時空要塞マクロス』のバルキリーのバトロイドモード(約16メートル)よりは小さい、中間型のサイズに位置する。
作品によっては、『マクロス』シリーズのバトロイドモードの機体と見紛うこともある。おそらく、「バルキリー」も「ヴィルキス」も、戦いの女神「ワルキューレ」を意識したネーミングであり、その点で共通点があるのかもしれない。
ちなみに、ヴィルキスは「アリエル・モード」をはじめとする複数のモードを有しており、物語の進行とともに機体の能力が徐々に解放されていく。
特筆すべきは、『マクロス』のバルキリーのように、「アリエル・モード」では戦闘機のような形態に変形可能である点だ。
ヴィルキスの「アリエル・モード」変形バージョンである。(ヴィルキス=バルキリー説のアリエル!?)
アンジュリーゼ(アンジュ)

アンジュリーゼ(アンジュ)
ミスルギ皇国の第一皇女「アンジュリーゼ」として国民から絶大な人気を博していたが、自身がノーマであると判明するやいなや、ドラゴンと戦う一兵士「アンジュ」へと転落した。
皇女であったが故にプライドが高く、頑固な性格であり、ことあるごとに周囲と衝突する。
もはや皇女ではないとはいえ、彼女の着用する衣服は露出度が高く、時には下着姿と見紛うほどである。
もちろん、別の洋服を着用しているシーンも存在するため、一概には言えないが、本作にはややR18な要素も含まれることを示唆している。
「いじめていた側」が「いじめられる側」に回った典型的な例と言えるだろう。
なお、本作はアンジュをはじめ、主要な登場人物のほとんどが女性で構成されている。
これは、登場人物がドラゴンと戦う「アルゼナル」に所属する「ノーマ」たちであるという設定に基づく。
実際、「ノーマ」とは、遺伝子操作前の旧人類の因子を持つ突然変異種であり、女性にしか発生しないという設定があるため、女性が圧倒的に多いのである。
敵として登場する「ドラゴン」は驚異的な生命力を持つとされることから、子どもを産む役割を持つ女性の方が(生物学的に男性に比べ)生命力があるという視点から、ノーマが女性のみに発生するという設定が示唆されている可能性も考えられる。
これは余談であるが、ハーレムものと称される作品では、多数の女性に対し男性が1人というシチュエーションが頻繁に登場する。
これは「そういうものだから」と片付けられることが多いが、今一度真剣にその裏付けを考察した作品が登場しても面白いだろう。
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まとめ
ごく簡単にまとめたが、クロスアンジュ 天使と竜の輪舞はいかがだっただろうか。
私自身、調査を進める中で、漠然と『コードギアス』や『マクロス』に近いものを感じた。そして、その世界観の設定は、独特で非常に面白いものであると認識した。
SFとファンタジーが融合した作品と評しても良いだろう。
まだまだ知るべき作品が多いと実感しつつ、今後も様々な作品を取り上げていきたいと考える。
興味を持った読者は、DVDなどが発売されているため、是非チェックしてみてほしい。
参照リンク
- 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』公式サイト: http://crossange.com/
- Wikipedia 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A5_%E5%A4%A9%E4%BD%BF%E3%81%A8%E7%AB%9C%E3%81%AE%E8%BC%AA%E8%88%9E
