作品の概要
舞台は100年戦争末期の惑星パルミス、「アルボガ王国」。
周囲を砂に囲まれたこの場所は、かつて多くの鉄の棺桶(AT)が撃鉄を交わした成れの果て、
ATから漏れ出したポリマーリンゲルが青白い炎を上げ、人魂を見せる乾いた墓場。
戦場の哲学者、ボジル・ドン・ハリバートンこと、フィローはこの王国でフリーランスのボトムズ乗りとして暮らしていた。
そんなある日、フィローは哨戒任務から帰還し、ふらっと立ち寄ったディックの店「DICKS BAR」で酒をたしなんでいると、
フロアーではこのバーの歌姫クレメンタイン・クリスティーが歌い、ホワイティーと呼ばれる男がいた……。
そして終わるはずのない100年にも及ぶ戦争が急展開を迎えるとき、フィロー、クレメンタイン、ホワイティーの3人の物語は加速する。
前回のあらすじ

カースニーへのピクニックをした3人はバララントの斥候部隊を目撃し、これから起こる不吉さを感じていた。
その予感は的中し、「100年戦争の突如の終戦」(フィローは王国での傭兵職解雇となる)、「クレメンタインが街から出ていく」など、
フィロー(とホワイティその他大勢)にとって衝撃的な事実が告げられる。
そんなダブルショックを受けるフィローだったが、ディックの店を訪れた彼は、
フィローたちと故郷カースニ-へ訪れたことで、考えの変わったクレメンタイン、
途中で合流したホワイティと、互いの過去や思いについて例のカウンターで語り合う。
そして惑星パルミスの衛星が動くとき、運命は大きく流れを見せる!!
混乱の中で
ギルガメスとバララントの間で辛うじて均衡を保っていた「アルボガ王国」は100年戦争終戦に混乱を期していた。
だが、そんな国の方針を決めたのはバララントであり、ギルガメスの後ろ盾を失った今、バララントに吸収(消滅)するのは目に見えていたのだ。
そんな中ディックの店を1人訪れたフィローは、クレメンタイン、ホワイティーのための「おぜん立て」をディックに提案するのだった。
フィローのその提案とは一体……?
決着と覚悟
画像出典:pixabay.comより
フィローの提案から数日、アボルガ王国の首都トラネホールは大騒ぎだった。
王侯貴族官僚、老若男女ありとあらゆる人が立場を棄て、持てるものを持ちこの国を捨て逃げて行った。
それから明日にマランガの大潮を控えた、バララントの使節団(占領軍)到着の前日でも、
フィロー達(荒くれ者の男たち)も変わらずディックの店に集まっていた。
フィローはいつものようにカウンターに座り、いつものようにクレメンタインの歌が始まる。
画像出典:フォト蔵より
歌が終わると、ホワイティーもフィローも立ち上がり、あの夜のガラッチ飲み比べの時のように、大テーブルとその上にガラッチ入りのグラスが並べられ、決着をつける時が来た!!
クレメンタインがガラッチを飲み始めたのを合図に、フィローとホワイティーはガラッチを喉に流し込む。
2人の飲み比べが、テーブルを半周したころ、突如勝負を見守っていたクレメンタインの体が倒れ、それに続きホワイティーも床に伏せた。
2人はディックの店の部屋で寝かされ、フィローはホワイティーの近衛儀杖隊の上着を剥ぎ取り着るのだった。
2人が目を覚ました時には「決着」をつけるために。
ディックはフィローと内通(?)していたが、これも居場所(2人)を守る為だった。
フィローは変装の準備が整うと、近衛儀杖隊の格納庫へ向けて歩みを進めるのだった。
放たれた計画
画像出典:https://www.yatate.net/より
アボルガ王国はすでに近衛儀杖隊の軍を残し壊滅していた。
夜明けまでに時間はあったが、フィローは急いで近衛儀杖隊の格納庫、ホワイティーのATへと乗り込んだ。
フィローはそこで夜明けまで眠りにつくつもりだったが、ホワイティー(と思っている軍人が)通信を寄越してきた。
通信への返答に悩んでいると、どこからともなく儀杖隊員たちが現れ、各々のATに乗り込み始めた。
いつの間にか時間になっていた。
フィロー達は(本来ならホワイティーか?)西門を通りバララントの先鋒隊と遭遇する為、ATをローラーダッシュさせるのだった。
誰もいない西門を通りホワイティーなら言うであろうセリフ(意訳)
「もう引き返せない。儀礼に返ってくるのは銃弾だ。ここからは各々の判断に任せる」を
フィローは儀杖隊員たちに告げるとATを先に進めた。
だが、1機として西門に残るものはおらず、儀杖隊員たちのATの後を追うホワイティー、クレメンタイン、ディックの姿がそこにあった。
そしてATは西門を通り過ぎ「無意味な生存」へ向けて走り出した。
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まとめ
・ホワイティーとクレメンタインを、決着をつける為「戦場の哲学者」フィローは白きATを駆る。彼はそこに何を見るのか。
・ディック。不器用な男よ。かっけえええええ!!