作品の概要
舞台は100年戦争末期の惑星パルミス、「アルボガ王国」。
周囲を砂に囲まれたこの場所は、かつて多くの鉄の棺桶(AT)が撃鉄を交わした成れの果て、
ATから漏れ出したポリマーリンゲルが青白い炎を上げ、人魂を見せる乾いた墓場。
戦場の哲学者、ボジル・ドン・ハリバートンこと、フィローはこの王国でフリーランスのボトムズ乗りとして暮らしていた。
そんなある日、フィローは哨戒任務から帰還し、ふらっと立ち寄ったディックの店「DICKS BAR」で酒をたしなんでいると、
フロアーではこのバーの歌姫クレメンタイン・クリスティーが歌い、ホワイティーと呼ばれる男がいた……。
そして終わるはずのない100年にも及ぶ戦争が急展開を迎えるとき、フィロー、クレメンタイン、ホワイティーの3人の物語は加速する。
前回のあらすじ

「アルボガ王国」で傭兵を生業にしているフィロー(ボジル・ドン・ハリバートン王国守護傭兵隊曹長、25歳)はその仕事帰り、
いつもの通り(?)「DICKS BAR」女や博打には目もくれず、酒をたしなんでいたが、
突如フロアーで歌い始めた20歳くらいのその女に興味を抱く。
そしてその女、「クレメンタイン・クリスティー」にダンスの相手を申し込んだ華やかな男、
「ホワイティー」(ビルジェ・ヤング・ウオーター王国軍儀杖AT隊中尉、21歳)を見かけると、
フィローはいてもたってもいられず、自分こそダンスの相手にふさわしいと申し出るのであった。
そこで2人の様子を見ていた店のオーナーディック(50歳くらいだが実名も不詳)は
「ガラッチ」の飲み比べで2人の決着をつけることを提案し、飲み比べが始まったのであった。
勝負の結果
画像出典:Pixabayより
勝負の後、フィローとホワイティーが目を覚ますとすでに陽は登っていた。
2人は己がいる場所も分からないまま、部屋の一角にあったコーヒーメーカーでコーヒーを作って飲むことに。
2人がいた場所それは2人の飲み比べの対象である歌姫「クレメンタイン」の部屋であり、
そうで飲んだコーヒーは「トビキリ」苦かったそう。
そして、部屋の主であるクレメンタインを2人は待ったが現れなかったため、
部屋を出ることにしたが、そこはディックの店の一角であることが分かった。
夜ではないため、閑散とした店を出た2人はいくらか言葉を交えると並んで歩き始めたのであった……。
飲み比べ勝負の結果はつかなかったのか?お預けになったのか?
その辺を聞くのは野暮というものである。
「ガラガラ蛇」vs「蒼穹の盾」
画像出典:https://www.yatate.net/より
「P・ATH―Q01」、DTクエント製ヘビー級AT、
その数約30機は、アボルガ王国近衛大隊第三儀仗中隊「蒼穹の盾」であり、お決まりの訓練と行進を行っていた。
そのわきをフィロー達傭兵AT部隊の「ガラガラ蛇」は通りかかったが、そのうちの1機が「蒼穹の盾」の儀仗隊の前に立ちふさがった。
立ちふさがった1機からはATに乗っていた男はコックピットから身を乗り出し、皮肉とも取れるお世辞を吐き捨てるのであった。
そして儀仗隊のATから装飾の目立つ隊長機に乗っていた男、ホワイティ-は進み出てコクピットを跳ね上げ、「かかってこい」とその男を挑発する。
ガラガラ蛇の男は、ホワイティーの挑発に乗り、互いにATのコックピットを鉄の塊はぶつかり合いを始めた。
そしてホワイティーのATがパイルバンカーをガラガラ蛇のAT喉元に突きつけると、
潮時とばかりにフィローのATが止めに入るのであった。
フィローのホワイティー第2ラウンド?
画像出典:フォト蔵より
先刻のガラガラ蛇の件で再びまみえたフィローとホワイティー。
先日歌姫を巡っての飲み比べ勝負にけりをつけるべく、日が落ちると共に再び2人はディックの店を訪れる。
しかし「ガラッチ」の勝負では互いに「トビキリ」苦い思いをしたため、互いに「休戦」を結ぶこととなり、グラスを重ねるのであった。
また今夜もクレメンタインは3曲を歌い上げたが、2人の決着がついていない事もあり、誰しも彼女の踊りの相手に名乗り出ることはなかった。
そんなことを知ってか知らずか、今回はクレメンタインの方から2人がいる席に訪れ、
カウンターに向かい真ん中にクレメンタイン、右にフィロー、左にホワイティーという並びで座ることとなった。
クレメンタインは「オアシス・ルモーイ」というカクテルを頼み、そのカクテルの花言葉や彼女の歌を肴に3人で飲み明けるの事となるのである。
いつもの3人と誘い
画像出典:フォト蔵より
ディックの店で3人が酒を楽しんだとき以降、フィロー達は毎日3人そろってカウンターに並ぶようになっていた。
周囲からはそんな3人についてあれやこれや噂や話が飛び交う中、1ヶ月ほどしたある日フィローとホワイティーはクレメンタインから、
突如「ピクニックに行こう!!」と誘われることとなる。
「行ってみたい場所があるの」と、さりげなく言った彼女の言葉には深い思いがありそうだが、
3人はピクニックもとい、「ドライブ」へ出発することに……。
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まとめ
・フィローとホワイティーの決着は「とびきり苦い」休戦に終わったが、毎日歌姫も加わり3人でカウンターに並ぶこととなった。
・突如クレメタインから提案された「ピクニック」。そこに待つものとは一体何なのか……?
【予 告】
ひたひたと押し寄せる
抗いようもない時の圧力の中に
吹けば飛ぶような物語が、一つ
そっと咲いてそっと散る
ルモーイ……白き小さな花言葉
譬えればそれは丘の上の佳人……
さらに忍べば離れ雲……
手折ってみるか揺れる花
掴んでみるか白い雲次回『カースニー』