作品の概要
舞台は100年戦争末期の惑星パルミス、「アルボガ王国」。
周囲を砂に囲まれたこの場所は、かつて多くの鉄の棺桶(AT)が撃鉄を交わした成れの果て、
ATから漏れ出したポリマーリンゲルが青白い炎を上げ、人魂を見せる乾いた墓場。
戦場の哲学者、ボジル・ドン・ハリバートンこと、フィローはこの王国でフリーランスのボトムズ乗りとして暮らしていた。
そんなある日、フィローは哨戒任務から帰還し、ふらっと立ち寄ったディックの店「DICKS BAR」で酒をたしなんでいると、
フロアーではこのバーの歌姫クレメンタイン・クリスティーが歌い、ホワイティーと呼ばれる男がいた……。
そして終わるはずのない100年にも及ぶ戦争が急展開を迎えるとき、フィロー、クレメンタイン、ホワイティーの3人の物語は加速する。
青白い亡霊
画像出典:Public Domain Picturesより
惑星パルミス。その南半球リブリー亜大陸の北西部には砂漠が広がるが、そこに「アルボガ王国」はあった。
2週間に及ぶ哨戒任務から帰還し、この国に雇われた傭兵たちは首都トラネホールの西門へとたどり着いた。
その傭兵部隊のしんがりを務めるフィローは、砂漠の地平に現れるATから漏れ出たポリマーリンゲル液の化学反応で起きる「青白い炎」を見つめ
「そう簡単にゃあ成仏できねえってか……」とつぶやいた。
基地司令は「100年戦争は終わることも無い傭兵の場所はある!!」と叫び解散を命じると、
各々は蜘蛛の子を散らすかのように散っていった。
画像は注記のない限り全てhttps://www.yatate.net/より
ディックの店にて。
陽の落ちた街は人通りもまばらだったが、フィローはダウンタウンのど真ん中にあるディックの店『DICKS BAR』へと入っていった。
酒と女と博打、傭兵のすべてがここにはあり、喧騒、笑い、音楽、様々なものでむせ返るこの場所で、フィローは1人カウンターへと座る。
バーテンから出された酒で胃を湿らせていると、この店のオーナーディックは女も博打も興味を示さない、フィローに物語の始まりを告げるのであった。
バーの歌姫
突如フロアーの一角に照明が当たり、20歳ぐらいの女がフロアーをその歌声で圧倒した。
歌が始まるまでは、喧騒や馬鹿笑いをしていた荒くれ者どもが、女の「恋」「故郷」「運命」の三曲を歌い上げると
その姿には不似合いな拍手喝さいを送るのであった。
舞い降りた歌姫に男どもは賞賛を送る共に、踊りの相手を!!と男たちはこの女に群がる。
そしてそのうち男たちは、「白鳥」こと白い制服に身を包んだ「アルボガ王国」の近衛の儀杖隊と、
「砂ネズミ」こと褐色の戦闘服を着たフィロー達がいる傭兵の2手に分かれていた。
そして日頃犬猿の仲であるこの2つの集団は一触即発の機会を得たわけだが、
その間を割って白い制服を着たメリハリの利いた華のある男が、渦中の女の前にダンスの相手を所望するのだった。
フィローとホワイティー
この華やかな男の申し出を女は受けようとしたその時、フィローは「彼女は俺と踊る」と思わずカウンターを離れるのだった。
そこで先に申し出をした華やかな男「ホワイティー」と傭兵である「フィロー」の2人の登場にフロアーの声援も2つに分かれるのであった。
しかしこの店のオーナー、ディックも黙ってみているわけにもいかず、2人にルールを言い渡し、ホワイティーとフィローは勝負をすることに。
ルールは簡単、どでかい丸テーブルにおかれたア・コバの火酒[ガラッチ]入りのグラスを飲み干し、一杯でも多く飲んだものが勝者である。
そしてホワイティーとフィローは困惑の混じった微笑みを浮かべるその女に乾杯を告げると、[ガラッチ]の飲み比べは始まった!!
![]() | 価格:2,916円 |
まとめ
・傭兵フィローの日常に現れたのは謎の歌姫と、近衛の儀杖隊のホワイティー、そしてガラッチの乾杯が物語の始まりの合図となった!!
・ところで、フィローはなぜ謎の歌姫に興味を示したのだろうか?
確かに矢立文庫にある謎の歌姫の画像を見るときれいな人だが、フィローがそれだけで惹かれるとはなんとなく思えない……。
とは言え次回以降その謎も明らかになるだろう!!